
クリニックの開業資金を考える際、「全部でいくら必要なのか」という総額に目が向きがちです。
もちろん、開業に必要な資金を把握し、融資を含めてどのくらい調達できるかを考えることは重要です。
しかし、開業準備ではもう一つ、大切な視点があります。
それは、
「開業後に、どれだけ手元に資金を残せるか」
ということです。
開業直後は「支払いが先、売上が後」
クリニックは、開業した瞬間から安定した収益が得られるとは限りません。
開業直後は、患者さんがまだ十分に定着していない一方で、
・家賃
・スタッフの人件費
・医療機器や設備のリース料
・広告宣伝費
・電子カルテなどのシステム費用
・医薬品や消耗品の仕入れ
など、さまざまな支払いが発生します。
つまり、支出は開業直後から発生するのに対して、売上は少しずつ増えていくという状況になりやすいのです。
そのため、開業時に資金を設備や内装などの初期投資に使い切ってしまうと、開業後の資金繰りが厳しくなる可能性があります。
「いくら借りるか」だけではなく「いくら残すか」
開業資金を考えるときには、
「いくら借りられるか」
だけを考えるのではなく、
「開業後の運転資金として、いくら残しておく必要があるか」
まで含めて計画することが大切です。
例えば、開業時の設備投資を少し抑えることで、運転資金に余裕を持たせるという考え方もあります。
もちろん、必要な設備を削ればよいという話ではありません。
大切なのは、初期投資と運転資金のバランスを考えることです。
開業資金は「クリニックを作るためのお金」だけではない
開業資金というと、内装工事や医療機器、什器など、「クリニックを作るためのお金」というイメージを持つ先生も多いかもしれません。
しかし、本来はそれだけではありません。
開業後、患者さんが増え、売上が安定し、クリニックが軌道に乗るまでの期間を支えるための資金も必要です。
言い換えれば、
開業資金は、クリニックを「作る」ためのお金であると同時に、クリニックを「軌道に乗せる」ためのお金でもあります。
開業時点で資金を使い切るのではなく、開業後の資金繰りまで見据えて計画することが重要です。
開業前から「その後」を考える
開業準備では、物件・内装・医療機器・スタッフ採用など、目の前の準備に意識が向きやすくなります。
しかし、開業日はゴールではありません。
むしろ、そこからクリニックの経営が始まります。
だからこそ、開業資金を検討するときには、
「開業するためにいくら必要か」
だけではなく、
「開業後、安定するまでにいくら必要か」
という視点を持っておくことが大切です。
運転資金をどの程度確保しておくべきなのかは、診療科やスタッフ数、家賃、設備投資、想定患者数などによっても変わります。
次回は、**「運転資金は何ヶ月分を見ておくべきなのか」**について、具体的に解説します。